お正月にエビは食べられるか?

年末年始の食卓に華を添えるエビ。欧米や中国での需要が増えてきたため、今年は1年を通じて値上がりを続けてきた。欧米などが提示する高値に日本が追随できず、「買い負け」している魚介類の一つでもある。

行楽や、クリスマスなど華やぐ席でエビを食べるのは世界共通らしく、秋以降は欧米のクリスマス需要がけん引役となって価格が急上昇してきた。例えば、日本で消費される冷凍エビの代表的な品種「ブラックタイガー」。比較的大型で人気が高いインドネシア産(16/20サイズ)は現在、1.8キロ2750円だが、9月上旬は2400円だった。

東京・築地市場の大手卸によれば欧米は「去年を上回る勢いでエビを買い込んでいる」といい、このままいけば年末には一段高となる可能性も高い。エビは高値の花となって年末年始の食卓からは姿を消すのだろうか。

実際には、お手ごろに食べられそうなのだ。年末からお正月にかけての歳末商戦で引き合いが増えるのは「赤エビ」。赤エビはゆでると赤色がきれいで見栄えがいいため、量販店などの鍋セットや出来合いのお節によく使われる。この赤エビだけは今年、日本が大量に安く買い付けることが出来た。

赤エビの主要産地アルゼンチンは資源保護のため昨年から禁漁を続けている。それが、今年の8〜9月に突然漁を解禁。しかも期間中に2万トンという豊漁になった。

アルゼンチン産赤エビはスペインやイタリアが主要な輸入国になっている。「パエリヤには色がきれいなアルゼンチン産しか使わない」と言われるほどで、必需品とみなされて高値で買い占める。7月までは1ポンド14.5ドル(30/40サイズ)と、日本の1ポンド10ドルを大きく上回る価格を提示していた。

しかしスペイン、イタリアは8〜9月に様子見に徹し、ほとんど買いに現れなかった。相場が下落基調にはいるのを待っていたとも言われるが、その間、日本勢は1ポンド8〜9ドルと最近では破格の安値で買い占めることが出来た。

10月12日から再び全面禁漁となり、スペイン、イタリアは買い時を逃す結果となった。日本は「今年の歳末商戦分は確保できたはず」(水産商社)で、アルゼンチンの赤エビが食卓を盛り上げてくれそうだ。