日本の技術者の特徴は一つの生産工程にまとめあげる技術があることだ

文革の取材を終わって日本に帰ってみると、文化大革命は人々のにぎやかな話題にはなっていたが、ベトナム戦争とからめて理解している人々には、ほとんど会わなかった。先にも書いたように、そもそも大三線計画の内容が、国内ですら20年近くも公開されず、外国人には知りようもなかったのであるから、それは無理もない。

歴史の真相は日本人には見えなかった。私たちにはベトナム戦争文化大革命とがつながる東アジアの軍事的・政治的構造は理解できなかったのである。私たちはマイカー・ブームで沸いていたのであるから、なおさら東アジアの緊迫感は伝わってこなかった。

しかし、考えてみれば日本の高度経済成長はアメリカの核の傘のもとでのことであった。しかし、中国や東南アジアの工場を見てまわるうちに日本の技術者が世界各国の進んだ機械を個々に輸入して、一つの生産工程にまとめあげる技術は並のものではないことが分かった。私はその頃、機械が輸入品か国産品かだけを見ていて、それらが実際にどのように使いこなされているかを見落としていたのであった。

輸入品であろうと国産品であろうと、いかに生産性の高い最新の機械・設備であっても前工程や後工程の機械の生産性がそれぞれ釣り合っていなければ、そこで半加工製品は滞貨してしまう。生産工程全体の生産性は最も高い生産性の機械の性能ではなく、最も低い生産性の機械の性能で決まってしまうのである。私か鞍山鋼鉄公司で見た光景は、その最もひどい例であったのだ。
 
だから、日本の技術者が世界各国からさまざまな機械を買いつける時、彼らの頭のなかには生産工程の基本設計がしっかりと入っていて個々の機械の性能はかくかくしかじかでなければならないことが分かっている。つまり、きわめて正確な仕様書の一群を手にしているのである。そのうえで機械を選び、買っているのだ。その基本設計の能力は高く評価しなければならない。

次に機械設備をそろえたうえで生産工程を組み上げたとしても実際には、それぞれカタログどおりの生産性は現れず、あるいは機械の選択を誤ったりして、個々の機械の生産性はでこぼこになっているのが普通である。それで試運転中に、あるいは生産を開始した後でも各機械設備について一つ一つ作業方法を工夫したり、機械の一部を改良したりして次第に全体のバランスを取っていくのである。

このためには、技術者が現場に張り付いていなければならないし、機械を運転する労働者の知恵も借りなければならない。技術者や労働者の協力のしかたは日本特有のもので、中国や東南アジアや欧米では、こういう体制はとりにくい。

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