日本にとって、世界で唯一国交のない国

北朝鮮は日本にとって、世界で唯一国交のない国である。村山富市元首相を団長とする超党派議員団が、九九年十二月一日から三日間訪朝、朝鮮労働党と九二年十一月以来七年間にわたって中断していた両国政府間の国交正常化交渉の再開で合意した。これを受けて、日朝双方は二〇〇〇年四月四日から八日まで国交正常化交渉を平壌で開くことが決まった。この日朝国交正常化交渉に先立って、九九年十二月十九、二十の両日、北京の日本大使館北朝鮮大使館で、日朝赤十字会議が交互に開かれ、次の四点が合意された。

①日本人配偶者の一時帰国を二〇〇〇年春に再開する。
②日本人拉致疑惑については、「安否調査」として、北朝鮮の当該機関に依頼する。
③日本政府は北朝鮮食糧支援について検討する。
④日朝双方は、一九四五年以前に行方不明となった朝鮮人の安否問題の解決に努力する。

日朝国交正常化交渉は二〇〇〇年四月五日から三日間、二回にわたって本会議を再開、日本側は高野幸次郎日朝国交正常化担当大使、北朝鮮側は鄭泰和朝日国交正常化担当大使がそれぞれ主席代表を務めて、過去八回の正常化交渉と同様に、①国交正常化交渉に関する基本問題、②補償問題などの経済問題、③安全保障の課題を含む国際問題、④その他双方が関心を有する諸問題を話し合った。

七年半ぶりの再開とあって、「過去の清算」や北朝鮮のミサイル開発、さらに日本人拉致疑惑などをめぐって、互いに一歩も譲らぬ息詰まるような展開があった。しかし、かつてのような激しい言葉の応酬はなく、日朝双方とも交渉団の物腰には柔軟さが感じられ、日朝関係の今後の局面転換に少なからぬ期待を抱かせる雰囲気が感じられた。