ネットいじめや不登校問題

卑劣な書き込みなどで問題が起こった時には、すぐに誰が書いたのか追跡できる仕組みを政府が作ったのだ。この制度は、年齢は問わず、全国民が対象となる。「ネット先進国」韓国では、今や政府による規制や、親による監視が当たり前になりつつあ「学校裏サイト」「プロフ」の空恐ろしい現実最近、日本で問題が表面化してきたのが「学校裏サイト」だ。学校裏サイトとは、学校の公式ホームページとは別に、生徒などが情報交換を目的に作ったサイトのこと。掲示板に匿名で書き込むことができるため、事実と異なる内容を書き込んで、陰湿ないじめの温床となっているとの指摘もある。書き手の素性を簡単に隠してしまえるインターネットの世界では、子供同士の実名を挙げての誹誇中傷や、教師に対する悪口が溢れていたのだ。

文部科学省は、学校裏サイトの数を三万八〇〇〇件と発表しているが、三〇万件以上に上ると見る専門家もいる。それだと、全国の中学校や高校一校につき平均二〇件のサイトが存在する計算となる。その実態は、誰にも掴めていない。新潟県新潟市の私立高校に通う川本裕子さん(仮名・一八歳)は、中学校の頃、学校裏サイトで標的にされた経験を持つ。援助交際をしていると、根も葉もない嘘の書き込みをされたのだ。「辛かった。みんな見ているから。違うって言っても誰にも信じてもらえなかった」問題化しているサイトは、ほかにもあった。

今、急速に人気を集めている「プロフィールサイト」、通称プロフだ。中高生など数百万人が利用していると言われ、携帯電話から自分の名前や住所などのプロフィールを簡単にインターネット上に公表でき、ネット上の交流を楽しめるサービスだ。多くが携帯ネットのサービスとして利用されている。しかし、その一方では、別人になりすまして、その人の個人情報を勝手に公開するなど、嫌がらせに使うことも可能だ。このため、新たないじめにもつながっていた。そんな子供たちのネットいじめや不登校問題などに取り組んでいる組織がある。東京・銀座にある「全国webカウンセリング協議会」には、年間三〇〇〇件もの相談が寄せられていた。

理事長の安川雅史さんのもとに、一七歳の女子高生Aさんから「卑わいなメールがたくさん届いて困っている」という相談の電話が入ってきた。安川さんは、Aさんの話を詳しく聞いた後、今、流行のプロフが原因・ではないかと推測した。誰かが勝手にAさんの個人情報をインターネット上に公開している、と考えたのだ。最近では、不審なメールが届くだけではなく、「家の周りにも知らない人がウロウロしている」と不安を訴えるAさん。安川さんは、その原因を突き止めるために、不審なメールを送ってくる送信者に対して、どこでこの情報を手に入れたのかを返信して聞くように、Aさんにアドバイスした。

一週間後、安川さんのもとにAさんから再び電話が入った。Aさんは、安川さんのアドバイス通りに返信したところ、送信者があるプロフの名を挙げたという。安川さんの読み通りだったのだ。安川さんは、自らの携帯電話でそのプロフに入って、Aさんのあだ名や年齢を次々と入力して、膨大な数のプロフィールの中から該当するものを探し出し始めた。すると、Aさんの生年月日や血液型などが一致する個人情報が細かく掲載されているプロフィールが見つかった。そこには「佐保求む」という言葉があった。